1回目
「ういろう売り」
拙者親方と申すは、お立ち会いの中に、
御存知のお方も御座りましょうが、
御江戸を発って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて
青物町を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門、
只今は剃髪致して、円斎となのりまする。
お手に入れまする此の薬は、
昔ちんの国の唐人、
外郎という人、我が朝へ来たり、
帝への参内の折から、
この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、
冠のすき間より取り出す。
依ってその名を帝より、
とうちんこうと賜る。
即ち文字には、
「頂き、透く、香い」と書いて
「とうちんこう」と申す。
只今は此の薬、
殊の外世上に弘まり、方々に
(全2,039字中 203字)
◆反省点◆
・こんなに長いとは思わなかった(2,039字)。
・変換ですっと出ない語句がはじめの時点でもかなりあるので、目ぼしいものは辞書登録する。
・「此の薬」と「この薬」とか、不統一な表記があるのでミスに注意する。
・文章として打つので、次回から読点で区切らずに句点まで打って改行にする。
以上。